採用リスクを回避するバックグラウンドチェック(経歴調査)とは

公開日:/最終更新日:
リスクマネジメント採用

1.バックグラウンドチェックの目的と実施企業が増えている背景
2.経歴詐称の実態
3.リファレンスチェックとは

1.バックグラウンドチェックの目的と実施企業が増えている背景

(1)バックグラウンドチェックの目的

バックグラウンドチェックとは、採用選考時に候補者の過去の経歴に虚偽や問題がないかあらかじめ調査をすることで、採用調査や雇用調査と呼ばれることもあります。応募者が選考時に提出した書類に記載されている内容について虚偽が無いか、記載内容を証明できる書類の提出を求めたり、事実を知っている関係者に連絡して直接確認したりします。バックグラウンドチェックは会社に不利益を与える可能性のある人物の採用を未然に防ぐことを目的として行われます。

(2)バックグラウンドチェックを行う企業が増えている背景

海外の企業ではバックグラウンドチェックは一般的でしたが、日本では近年になって実施する企業が増えてきました。日本では、雇用形態が多様化しつつある中、1人あたりの転職回数が増える傾向にあり、過去の経歴を正確に把握した上で採用判断をしたいと考える企業が増えたことが、バックグラウンドチェックを行う企業が増えた背景にあります。

従来も役職者などハイレイヤーな転職者に絞りチェックを実施するケースはみられましたが、最近では一般社員に対しても、採用失敗のリスクを排除するためにバックグラウンドチェックを行う傾向が多くなりつつあります。

(3)バックグラウンドチェックによりネガティブ情報が明らかになる割合

時間をかけて選考して採用した人物が、期待していたほどパフォーマンスが発揮できなかったり、過去の勤務先でのトラブルや経歴詐称が原因で企業に損失を与えたりするケースがしばしば発生しています。ある国内機関によればバックグラウンドチェックを通して、ネガティブ情報がみつかるケースは5パーセントから10パーセントに上ると発表されました。一定の割合で経歴詐称などのトラブルの因子が明らかになっています。

例えば、過去の勤務先でトラブルを起こす可能性のある人物の典型例として挙げられるのは「モンスター社員」です。一般常識や会社の規則から外れた行動を繰り返す従業員のことをモンスター社員と呼びます。このモンスター社員を放っておくと同僚の士気を下げる他、対処方法を誤ると訴訟問題に発展し、企業がダメージを受けることもあります。

 

2.経歴詐称の実態

経歴詐称の社員を採用することは会社に悪い影響を与える可能性があります。経歴詐称は「採用に有利な経歴を詐称する」「採用に不利な経歴を隠す」というケースです。採用してもらいたいがために、悪意なく誇張してしまったり、隠してしまったりする場合もあるでしょう。例えば、学歴詐称は「高卒なのに大卒である」などと高学歴を詐称するだけでなく、「大卒なのに高卒である」などと偽る、いわゆる「逆学歴詐称」も学歴詐称とされる場合があります。逆学歴詐称は、高卒以下に限定されている求人に応募したいなどの理由によって行ってしまうケースが考えられます。

また、職歴を詐称するケースでは、どのような会社に勤務していたのか、どのような職務に従事していたか、何年勤務したかなどの職歴が、採否を決定するうえで重要な判断基準となります。職歴は、採用後の配属場所や職務内容、役職・職位、賃金などに影響することもあるため、それらの情報を自らの立場に有利になるよう詐称するケースがみられます。

犯罪歴を隠すことは最も重大な詐称にあたります。履歴書に賞罰欄があったり、面接で犯罪歴について質問されたりした際には、求職者は誠実に真実を申告することが必要なのは過去の判例からも明らかです(最高裁平成3年9月19日判決)。さらに犯罪歴以外は履歴書への明示が義務付けられていないことから反社会的勢力とのつながりや特定の宗教団体などとの繋がりを突き止めることは企業にとって大変に困難な課題と言えます。

 

3.リファレンスチェックとは

バックグラウンドチェックの手法のひとつである、リファレンスチェックとは、「採用候補者の働く姿」について、一緒に働いたことのある採用候補者の元上司や同僚から、書類選考や面接だけではわからない情報を取得することを言います。採用候補者の実績や在籍期間、人物像などの情報を第三者から得ることで、採用判断における判断材料を増やすことが主な目的です。管理職への昇進時や取締役就任などの経営幹部への登用の際、重要な経営判断として行われるケースも多く見られます。

リファレンスチェックを行う相手は、主に採用候補者の前職や現職の上司・同僚・部下です。採用候補者から了承を得た上で、企業もしくは外部の委託業者が、電話やメール、専用ツールなどを用いてヒアリングを行います。実施のタイミングは企業ごとに違いますが、内定の前後に採用判断の最終確認として行われることが多いです。一般的には、より多くの情報を取得するために、採用候補者の働きぶりや人物像をよく知る元上司・元同僚・元部下の2人以上に回答を依頼します。

リファレンスチェックは上記のように自社で独自に行うには知識や経験、体制面からも困難といえます。実施する際は、外部の専門調査会社を活用して実施することが一般的です。

バックグラウンドチェックの専門調査会社である㈱TMRでは独自の調査方法に加え、採用候補者に事前承諾書を手配したうえで、履歴書・職務経歴書などの応募者申告事項について踏み込んだ裏付けを行います。中でも犯罪に関する経歴詐称の調査では実際の犯罪歴に加えて、反社会的勢力や特定の組織とのつながりがないかどうかについて入念なチェックを行います。さらに、勤怠、退職理由等の確認を通して、素行不良、経歴詐称などのネガティブ情報がないかどうかを突き止め、客観的な判断材料を提供することで安心・安全な採用活動の実現が可能です。

取締役など重要なポストへ登用など指定事項について特に綿密なリファレンスチェックを行うサービスも提供しており、反社チェックも踏まえて行う役職者採用など重要な経営判断の材料として利用できます。