入居審査において反社会的勢力のチェックを行うポイント

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【反社チェック1】入居審査で反社チェックの必要性が高まる背景

【反社チェック2】契約時には暴力団排除条項を意識することが大切

【反社チェック3】反社会的勢力の入居によるトラブル事例

【反社チェック4】入居時に反社会的勢力をチェックするポイント
(1)入居時の反社会的勢力チェック
(2)反社会的勢力のチェックを行う外部専門会社の活用

【反社チェック1】入居審査で反社チェックの必要性が高まる背景

1991年の暴力団対策法の制定以後、法律改正によって反社会的勢力への規制は強化されてきました。結果として暴力団の構成員の人口は年々減少してきています。

その反面、反社会的勢力の存在が前面に表れないだけで、実態は潜在化する傾向が強まってきているといわれています。そのため、一般的な入居審査だけでは、反社会的勢力を見抜くことが難しくなってきていると考えられます。

こうした背景から入居時点の審査では、反社会的勢力と全く気づかずに入居させてしまうケースも多くみられるようです。契約段階では非常にわかりにくいため、入居時のトラブルが減った一方、実際に居住した人が契約者とは別人で、反社会的勢力だった。というような入居後に明らかになる事案が増える傾向にあります。

【反社チェック2】契約時には暴力団排除条項を意識することが大切

契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入することが重要です。平成23年10月に国土交通省で開催された「不動産業・警察暴力団等排除中央連絡会」では、暴力団等の反社会的勢力排除に関する基本理念となる「5原則」を採択して、不動産取引における反社会的勢力への対応指針を明確に打ち出しました。

<不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則>
・反社会的勢力を恐れない
・反社会的勢力を利用しない
・反社会的勢力に資金を提供しない
・反社会的勢力と交際しない
・反社会的勢力と取引しない

こうした原則や指針を参考にしながら、契約書の作成や身分証明書の確認などの契約手続きを日頃からおざなりにしないことがとても重要と言えます。入居希望者と会った時点から、手続きが完了するまでの契約段階のプロセスを通して、なぜこの物件を借りようとしているのか?行動に不審なところはないか?ひとつひとつ丁寧に確認しながら対応することが大切です。

 

【反社チェック3】反社会的勢力の入居によるトラブル事例

都内のとあるマンションで火災報知器が作動し、住民からの通報がきっかけで、違法薬物栽培が発覚したという例もありますが、違法薬物栽培が行われた家や部屋では、独特の臭気が発生することや窓が雨戸や遮光カーテンで閉ざされているといった共通点があります。

近年では、反社会的勢力の中でも、「半グレ」といわれるグループによる犯罪もしばしば起こっています。「詐欺のような電話をしている声が1日中聞こえて、気持ち悪い」というような苦情が寄せられて捜査するケースも増えているそうです。これらのグループの居住期間は2、3か月、さらに短い場合は10日ぐらいで拠点を移動してしまうこともあるため、通報されて警察が踏み込む時点ではすでに退去していることも多く、対応が大変難しいそうです。

 

【反社チェック4】入居時に反社会的勢力をチェックするポイント

(1)入居時の反社会的勢力チェック

こうした問題を生じさせないためには、極力、事前に反社会的勢力であるか否かを見抜いて契約しないことが重要です。インターネット等で情報を収集し、反社会的勢力との関りが無いかどうかを確認することは必要不可欠です。

また、契約書上に暴力団排除条項の記載があれば、警察で暴力団構成員かどうか確認することも可能です。その他に独自にできる簡易なチェックとしては「不自然なところを見つける」ことが大切です。

具体的には「高級車を乗りつけて女性を連れてワンルームの部屋を借りに来る」、「自分が住むと言いながら、電話で指示を受けながら部屋を探す」といったケースなどが挙げられます。こういった場合、「ご自身で住まわれるんですよね?」とさりげなく率直な質問を行うことにより、その場の反応を観察することも有効な方法です。

他にも、意外と盲点となりやすいのが同居人の確認です。審査項目として、本人に加え、同居人の有無や同居人の身分証明書、勤務先、勤続年数などの提出も審査対象ということを明記しておくことで、問題のある申込者を敬遠させることができると同時に、調査を行う場合にも大変有効な情報となります。本人および同居人それぞれの記載欄を設け、正社員かどうか、社会保険の有無なども含め審査時に提出してもらうと効果的です。

反社会的勢力が拠点として使う物件の特徴として、ワンルームより2LDKや3LDKのファミリー向けの広めの物件を好む傾向がみられるそうです。これは複数の人間が出入りすることが理由と考えられます。また、電話を多用する特殊詐欺グループは角部屋の入居を希望する傾向が強いといわれています。

万が一、入居してしまった場合への備えも必要です。最も効果があるといわれる対応のひとつに、周囲の居住者から情報収集するという方法があります。早い段階で周辺情報が得られれば効果的な対応が期待できます。周囲の居住者から有効な情報を得られるよう、ご意見BOXを設置する、あるいは情報提供用のメールアドレスを公開しておくといった日頃の地道な対応が効果的と言えます。

(2)反社会的勢力のチェックを行う外部専門会社の活用

入居審査において、反社会的勢力のチェックを独自で行うことには自ずと限界があります。そこで反社会的勢力のチェックを総合的に支援する専門会社の活用が有効と考えられます。業界固有の専門知識や豊富な実務経験に基づく調査により、より精度の高いチェックが行うことができます。

㈱TMRが提供する支援メニューを利用することで、反社会的勢力に特化した独自のデータベースを活用し、対象者や対象企業のチェックが可能です。万が一、反社会的勢力が入居してしまった場合でも、関係解消に向けた実践的対応のサポートが行うことができます。

さらに、反社会的勢力排除に関する取り組み規定等を、企業ごとにカスタマイズした形での提案も行っています。反社会的勢力排除に向けた社内体制構築支援の一環として、社員向けの階層別研修も実施しています。