注意義務となっている反社チェック

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リスクマネジメント反社

1.反社チェックの必要性
2.反社チェックを行うために知っておくべき3つの基準
3.反社チェックの具体的手法

1.反社チェックの必要性

「反社チェック」とは、反社会的勢力を企業が見極め、契約の前に排除していく活動のことをいいます。契約締結前に、取引相手が信頼に足る企業・人物かについてチェックすることは、企業の規模や業歴、成長ステージを問わず企業としての取引を行うにあたり必要不可欠な取り組みと言えます。

こうした企業経営に必要な反社チェックを行うにあたっては、企業の経営陣やマネージャー、実務担当者必ず知っておかなくてはならない3つの基準があります。

2.反社チェックを行うために知っておくべき3つの基準

(1)暴対法および政府指針

暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)では27にわたる行為が禁止されています。指定暴力団員が威力を示して不当な要求行為をすることなどが禁止事項に挙げられています。指定暴力団とは都道府県公安委員会が指定した団体で法律に基づく規制の対象です。企業経営を行うにあたり、こうした団体と関係を絶つことは企業の維持・継続のためには必須事項と言えます。

2007年6月、政府発表の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の中で「反社会的勢力による被害を防止するための基本原則」が定められました。この中で「取引を含めた一切の関係遮断」を行うことが定められています。

同指針ではさらに①契約に反社条項を入れ、②情報収集を通して反社データベースを自社で構築することを取り組みとして求められるようになりました。この指針策定の後、取締役の注意義務に際して民事訴訟等の場で企業側の責任が問われる判決も出ています。

(2)各都道府県の暴力団排除条例

各都道府県は、2009年から2011年にかけて一斉に暴力団排除条例を制定しました。企業に対して、契約締結時の暴力団関係者であるか否かの確認や契約書への暴力団排除条項設置、暴力団関係者への利益供与禁止などが定められています。

中でも、2011年に定められた東京都暴力団排除条例には、①反社チェックの実施と②反社条項の設定努力義務が明記されています。努力義務とはいえども、怠った場合には取締役の注意義務違反が問われる判断材料になる内容です。

(3)金融庁の監督指針および東京証券取引所の新規上場審査基準

2008年、金融庁が金融機関に対して「反社会的勢力による被害の防止」に関する規定を設けました。政府指針では言及されていない一元的な管理体制の構築が求められています。

東京証券取引所の「上場審査等に関するガイドライン」には、新規上場申請者の企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、関与防止努力に関する規定があり、反社チェック体制の構築・運用について必ず確認されることになっています。創業間もないベンチャー企業であっても新規上場を目指す場合は、早期から反社チェックの体制づくりを行うことが強く求められています。

3.反社チェックの具体的手法

(1)自社でできる反社チェックの方法

日経テレコンおよびGoogle検索を用いて検索を行うことがもっとも簡易な方法です。反社に関わるようなキーワードと法人名・取締役等の氏名で検索を行います。

次に実施可能な方法としては、商業登記簿謄本や不動産登記簿謄本を確認して、会社住所や役員構成の推移、オフィス立地場所について情報収集することです。短期間に移転を繰り返している会社は反社に関与する企業の特徴のひとつと言われます。不動産登記簿謄本で何らかの懸念情報が発見された場合、直接現地オフィスを確認しに行くことで不審な点が発見できることもあります。

また、業界団体等に問合せることも有効です。業界団体等に問合せることは一般に風評チェックとも呼ばれます。以下の団体は業界として反社データベースを構築しています。

一般社団法人全国銀行協会
日本証券業協会
財団法人不動産流通近代化センター

他にも暴対法に基づいて全国に設置されている暴追センターは反社チェックの問い合わせが可能です。警察への属性照会については、警察庁の規定に基づいて行われるため、情報を提供してもらうには一定の要件を満たすケースに限られています。

(2)外部専門調査会社に委託して反社チェックを行う

取引を持ち掛けるような反社は、近年巧妙になっており、一般企業のチェックでは見抜くのが困難なことも多く、反社会的勢力に関する企業信用調査や社内体制づくりにノウハウを持つ専門調査会社を活用することで、指針や事例にも即した対応も行え、リスクを軽減できます。自社で調査を行う場合でも専門調査会社に社内体制づくりの指導を受けることは、非常に有効な取り組みと言えます。

㈱TMRは、反社会的勢力の情報収集と蓄積を継続的に行っており、独自のデータベースを構築しています。東京証券取引所の第三者割当引受人の身元審査の審査機関としても認められており、情報活用についても熟知していることから、企業経営の注意義務として実施する反社チェックの実務を安心してお任せいただけます。

また、取引を行おうとした企業が反社会的勢力だと判明した場合の具体的な対応や事案発生後の被害を最小限に抑える対応などの実践的対応もサポートしています。さらに、社員教育のマニュアル制作やカリキュラムの考案、研修の実施など、反社チェックの体制づくりも支援いたします。また、いざという場面で相談できるコールセンターも保有しており、窓口業務の請負も可能です。