ビジネス取引において実施される信用調査とは

公開日:/最終更新日:
リスクマネジメント信用調査

1.信用調査の必要性と行わない場合のリスク
2.信用調査を行う方法
3.外部の専門調査会社に調査を依頼するメリットと選択基準

1.信用調査の必要性と実施しないリスク

(1)信用調査の内容とその必要性

信用調査とは、企業同士が取引を行う際に取引企業に対して調査することです。信用調査は、不動産などの資産の保有状況や対象企業の取引先との取引情報など様々な項目から調査を行うのが一般的です。

経済状況の調査を通して支払い能力を見定めて「取引金額の限度額」を設定する調査は信用調査の中でも、与信調査と呼ばれます。与信調査を行う理由は、支払い能力がない企業と取引をしてしまうと代金未回収になるリスクがあるためです。

また、新しく取引する企業に対しては「信用できる取引先か」を調べる際に用いられます。2011年、全都道府県に暴力団排除条例が施行され、企業経営者の努力義務として、取引相手および関係者の属性確認が規定されました。たとえ正当な取引であっても反社会的勢力との取引を行うとペナルティが課されるようになりました。

新たな企業間取引を行うケースにおいて、信用調査の重要性が近年、急速に高まっていると言えます。

(2)信用調査を行わない場合のリスク

企業間取引のビジネスにおいて、信用調査を行わない場合に考えられるリスクとして下記の4点が挙げられます。

① 売掛債権を回収できない
支払期日に取引先からの入金がないという未回収リスクがあります。信用調査を実施せずに取引を開始すると資金繰りが悪化していることを見抜けません。売掛債権を回収できない事態に陥ることがあるため十分な注意が必要です。

② キャッシュフローが悪化して業界での評判が悪くなる
取引先からの売掛債権を回収できなくても、仕入先への支払いや税金の支払いの期日は守らなければなりません。自社のキャッシュフローが悪化して仕入れ先への支払いを遅延してしまうと、業界での悪い評判がたってしまうリスクも発生します。

③ 連鎖倒産を起こしてしまう
キャッシュフローが悪化して資金繰りに困り、万が一、売掛債権が未回収の取引先が倒産してしまうと、回収見通しが立たなくなり、最悪のケースでは連鎖倒産を招きます。例え黒字経営であったとしても、売掛債権未回収の資金繰り悪化により倒産を招いてしまうケースは絶えず発生しています。

④ 反社会的勢力など、取引してはいけない企業と関係を持ってしまう
前述した暴力団排除条例の施行により、取引相手および関係者の属性確認が規定されました。商慣習に則った正しい企業間の取引であったとしても、反社会的勢力と関与は一切、許されない状況下に置かれています。こうした反社会的勢力との取引等を未然に防ぐためには、予め信用調査による「反社チェック」を行うことは、企業経営において避けては通れない必要不可欠な経営課題になっています。

 

2.信用調査を行う方法

(1)自社で信用調査を行う方法

社内の取引情報から信用情報を収集します。取引に関与した担当者へヒアリングを行うことや取引データの動向を時系列で確認することが挙げられます。社内でのヒアリングやデータ確認だけでは得られる情報が限られるため、下記に挙げるような公開されている情報を活用する方法もあります。

・法務局で閲覧できる商業登記簿謄本や不動産登記簿謄本を確認する方法
役員全員が交代した経歴、所在地が転々としているなどは、詐欺を行う企業の特徴と言われています。

・インターネット上で調べる方法
公開されている役員や決算などの情報を商業登記簿謄本と照らし合わせることで確認する方法です。

(2)専門調査会社に信用調査を依頼する方法

専門調査会社に依頼する調査方法としては、大きく照会調査と依頼調査が挙げられます。

・照会調査
相手先の関係先にヒアリングする方法で、リアルな情報を集めることができます。相手先企業に直接ヒアリングする訪問調査に加えて、取引先や事務所ビルオーナーなどにヒアリングする側面調査と呼ばれる調査もあります。
訪問や電話、メールを用いて調査することで、資料ではわかりにくい内部情報を得られる可能性がありますが、自社で実施すると対象企業に不信感を抱かれ、取引に支障をきたした事例などもあるため、専門調査会社に依頼することが有効と言えます。

・依頼調査
専門調査会社独自のデータベース等による調査です。具体的には、反社チェックや海外企業との取引に備えた独自データベースを利用した調査が挙げられます。専門調査会社のデータベースや豊富な調査実績を踏まえて照会調査では収集できなかった情報を得ることが可能です。

 

3.外部の専門調査会社に調査を依頼するメリットと選択基準

(1)外部の専門調査会社に調査を依頼するメリット

調査時間や調査人員が不要な点や、専門的な調査視点から正確に調査対象会社の支払い能力や経済状況、構成人員や関係者など、必要と考えられる情報を効率よく把握することができる点が挙げられます。

(2)外部の専門調査会社に調査を依頼する際の選択基準

専門調査会社を選ぶ際のポイントとして、主に次の2点が挙げられます。

① 調査価格と納期
調査価格については、実施する調査内容および納期を併せて確認をとることが大切です。複数社に相見積もりを取る場合は、価格差だけでなく、項目ごとの費用があるか、それぞれの価格の妥当性や説明、加えて実施される調査内容や方法も含めて判断することが大切です。

② 調査報告書など成果物の内容
調査内容について、どのような成果物を報告してもらえるかなど、最終的なアウトプットの質や量について事前に確認しておくことが必要不可欠です。価格や納期という要素が評価される水準だったとしても、最終的な調査目的を満たす報告内容が伴わなければ、調査する意味がないので、事前に確認しておくことが非常に大切です。

 

弊社(株式会社TMR)で実施している企業調査、与信管理の調査は、定性分析、経営コンサルテーションまで含んだトータルソリューションとしてお役に立つサービスを提供しています。単なる定量的・形式的な調査データの提供にとどまらず、オフィシャルな情報だけではわからない、定性的・実質的な内容に踏み込んだ情報提供も行っています。

さらに、㈱TMRは、反社会的勢力の情報収集と蓄積を継続的に行っており、独自のデータベースを構築しています。情報活用についても熟知しており、安心してお任せいただけます。