企業のリスクマネジメントとして行う素行調査の有効性

公開日:/最終更新日:
信用調査採用

1.新型コロナウイルス感染拡大の影響による採用への影響
(1)人手不足に陥っている業界
(2)非正規雇用者の採用でも広がるオンライン面接
2.アルバイト店員の悪質行為と企業の抱えるリスク
(1)社会的な問題に発展しつつある悪質行為
(2)アルバイト店員が行う悪質行為と企業の抱えるリスク
3.リスクマネジメントとして行うアルバイト素行調査
(1)アルバイトの素行調査を行った事例
(2)企業リスクマネジメントとして行う素行調査とは

1.新型コロナウイルス感染拡大の影響による採用への影響

(1)人手不足に陥っている業界

ある調査会社の報告によると新型コロナウイルス感染拡大後、人手不足と感じる企業の割合は緩やかな減少傾向にあると言われます。人手不足に悩む企業の割合が減る一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、慢性的な人手不足が加速している業界も存在します。

小売業ではアルバイト人材の人手不足が顕著です。例えば、コンビニエンスストアでは、営業時間が長い分、シフト制を取り入れながら、多くのアルバイト人材を必要としています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響から在宅勤務が進み、外食の機会が減ったことにより、購買需要が急速に高まっています。

また教育サービス業では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて外出が制限されたことでオンライン授業への切り替えなど、現場で多くの作業対応が求められています。学生アルバイトを始めとする人手が足りない状況に陥っています。こうした業界では依然として非正規雇用の若者の採用ニーズが高い水準で推移しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国人人材の入国が難しくなっていることや、オンライン授業中心になり、地元に戻る学生が増えていることもアルバイト人材の不足に拍車をかけているようです。

(2)非正規雇用者の採用でも広がるオンライン面接

学生アルバイトなど若者の非正規雇用者の採用でも、オンライン面接を活用する企業が増加する傾向にあります。応募する側は空いた時間を活用してお金を稼ぎたいという傾向が見られます。応募者が、わざわざ面談会場に出向くような選考方法では、採用機会を遠ざけることにつながると採用企業の多くが考えています。

録画面接という新しい面接方法も正社員採用だけでなく、非正規雇用者の採用でも普及しつつあります。あらかじめスマホやパソコンのカメラで撮影した動画を、企業から送られてきた投稿フォームにアップロードするだけでより気軽に採用選考を受けることが可能になる手法です。

2.アルバイト店員の悪質行為と企業の抱えるリスク

(1)社会的な問題に発展しつつある悪質行為

採用のオンライン化により、在宅のまま、より気軽にアルバイト応募が可能となる環境整備が進む一方、コンビニエンスストアや飲食店のアルバイト店員が悪ふざけをして、その様子をインターネット上に公開することで騒動が起きる事件が多発し社会的な問題に発展しつつあります。

アルバイト店員が勤務先で悪ふざけを行い、その様子を撮影してSNS等インターネット上に投稿した結果、企業や店舗の評判が損なわれることはバイトテロと呼ばれます。こうした悪質行為は、個人の興味本位で突発的に行われ、防ぐことが難しく、企業や店舗にとっては深刻なダメージを与えるなどリスクが高いことからバイトテロと表現されるようになりました。

あるコンビニエンスストアでは会計前で販売商品のサラダのふたをあけ、素手で触る悪質ないたずらを行った動画が広まりました。さらに、別のコンビニエンスストアのアルバイト店員は、アイスクリームを販売する冷蔵ケースに入った様子を撮影してSNSに投稿した事例もあります。

その他にも、売り物の食材を床や自らの人体にこすりつけてから調理する、あるいはクレジットカード伝票などの個人情報を撮影してSNSなどへ投稿するといった騒動が起きています。

(2)アルバイト店員が行う悪質行為と企業の抱えるリスク

こうした悪質な行為によって、フランチャイズ契約を解除され休業となったケースも見られます。加えて、店舗経営者の個人情報が漏えいし、インターネット上で広まる事態に発展したケースもあります。営業停止に追い込まれるなど、事業存続に関わる大きな被害を受けた事例も少なくありません。

何ら許可を得ずに顧客の来店情報を掲載したケースや、クレジットカード情報などをアルバイト従業員がSNSに書き込んだケースでは経営側が責任を問われ、賠償請求される可能性があります。また、アルバイト店員がいたずらで汚した食材を顧客に提供し、

万が一、食中毒になった場合でも、その責任を問われる恐れがあります。こうした直接的な重大リスク以外に、企業イメージが大きく傷けられるなどの間接的な重大リスクも存在します。悪質行為を行ったアルバイト本人の解雇だけにはとどまらず、企業存続にも影響を与え兼ねない非常に大きな事態となるリスクがあります。

非正規雇用者にもオンライン面談が進んだことで採用スタイルが簡素化し、気軽な応募が可能となる反面、例えアルバイトといえども、企業側が採用後の勤務態度をマネジメントすることの重要性は急速に高まっています。

3.リスクマネジメントとして行うアルバイト素行調査

(1)アルバイトの素行調査を行った事例

ある焼肉店では、在庫の減りが異常に早いため、アルバイトが持ち帰っているのではないかとの疑念を抱き、外部専門機関に依頼してアルバイトの素行調査を実施しました。店長のいない日はアルバイトだけで店舗運営を行うため、アルバイトを常に監視することは難しい状況にありました。

アルバイト店員の素行調査を行ったところ、在庫の肉やデザートを持ち帰ったり、閉店後、勝手に食べたりしていたことが判明しました。さらに焼肉の網をフリスビーにして遊んでいたことまで分かりました。その様子がSNSにアップされていたことも明るみにでました。こうした事実を元に経営者は関与したアルバイト3名を解雇しました。

(2)企業リスクマネジメントとして行う素行調査とは

素行調査とは、調査対象の人物が「いつ・どこで・何をしていたか」を監視し、証拠として記録に残したり、撮影したりする調査のことです。アルバイトの素行調査でわかることとは下記のようなものです。

・勤務中の働きぶり
・立ち寄り先の滞在時間
・勤務中に接触した人物
・勤務時間外の行動歴
・職場以外での交友関係(住所・氏名など)

企業側には労働環境の監督義務があることから、思想・信条・宗教に関する調査や違法な調査方法をとった場合を除き、調査自体が法に抵触することはありません。

㈱TMRでは素行調査として、勤怠、退職理由等の確認を通して、素行不良、経歴詐称など問題がないかどうかを突き止め、客観的な判断材料を提供することが可能です。

具体的には、被雇用者の経歴、特定の団体への加入状況、健康状態、性格素行、前職の退職理由・勤怠状況、生活態度など幅広く調査することができます。こうした経験豊富な外部専門機関の活用により安心・安全なアルバイト人材のマネジメントが可能となります。