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経営者に求められる倒産リスク対策とは?
第4回 経営判断のリスク
公開日:/最終更新日:
|リスクマネジメント
1. 経営判断で大切なこと
2. 情報収集と意思決定
3. 経営判断のリスク
経営リスクは内部要因に加え外部要因の影響でも発生し、経営者はいつどのような事態が発生しても適切に対処できるよう経営判断が求められます。そのためにリスク管理体制を整えておくことが必要であることをこれまで掲載してきましたが、体制を整えても最終的な経営者が判断を誤ると大きな痛手となりえます。
今回はこの経営判断のリスクについて取り上げたいと思います。
1. 経営判断で大切なこと
誤った経営判断を意図的にすることはまずないと思いますが、常に過ちのない判断というのも困難かと思います。経営判断により、大きな成功を収めることもあれば、損失を被ることもあるかと思います。
この判断を下す際に大切なのは、会社を存続、発展させるためにその時点で考えられる最適な判断であろうということです。
論理的な判断材料
売上や利益などの社内の指標はもちろん、数値化できる情報や事実を元にした情報が経営判断における基本的な判断材料となります。
非論理的な判断材料
業界の慣習やモラル、公序良俗に反することなど、たとえ利益が出る可能性が高くても会社の方針として実施できないことがあります。また、経営者の勘なども非論理的な判断材料に該当しますが、実際には経験に基づく論理的な判断であることも多いと思われます。
非論理的な判断材料については、経営方針などに基づくもので、経営者の判断は概ね決まっていることも多いと思われますが、論理的な判断材料は、情報をどれだけ取捨選択し、活用できるかによって大きな差が生まれます。
2. 情報収集と意思決定
現代は、情勢の変化や技術の進歩も激しく、それらも含めた最新の情報はインターネット上に大量に存在し、誰もが高速にアクセスできるようになっています。これらの情報を把握せず、過去の経験や知識だけで経営判断を行うことは非常に危険と言え、かつてのようなカリスマ経営者の勘に頼る経営判断は現代ではほとんど耳にしません。現代における経営判断に必要不可欠となるのは、情報収集と分析およびリスクの見極めと意思決定のスピードの確立です。
情報収集と分析
情報を収集するためには、必要となる情報を認識することが前提となります。あらゆる情報すべてを把握することはできないため、必要となる情報を精査し、正確な情報を収集するための信頼できる情報源を確保することが重要となります。また、定期的に収集が必要な情報の他、突発的に必要となる情報もあり、多面的に情報収集するという意味でも信頼できる情報源は複数確保することが望ましいです。正確な情報を元に分析を行うことで、より精度の高い予想ができ、適切な判断に繋がります。
リスクの見極め
インターネット・SNSには、フェイクニュースが山積しており、情報の信ぴょう性を確認する必要があります。発信元が誰なのか、信頼できる先なのか、そして事実関係を新聞等で確認することが大事です。誤情報を信じて経営に流用してしまうと、誤った道へと進んでしまうことになります。
意思決定プロセス
情報収集と分析を行うことで、その内容を元に判断するという一連の流れを作ることができます。定期的な情報収集や突発時の情報収集、及びその内容について検討する経営陣や専門家などの体制を構築することで、より迅速な意思決定を行うことができるようになります。
現代の経営判断にはスピードが求められること及びリスクをとる覚悟も求められますが、早期に状況を把握し、早期に対策を行うことでリスクを低減・回避でき、収集した情報を活用することで競争面においても有利に進められる可能性が高くなります。
3. 経営判断のリスク
情報収集と分析の結果を判断材料として意思決定を行うことは、既に必須とも言えますが、課題となるのが、情報収集と分析の精度の問題です。有益な情報を収集し、分析、活用する能力を情報活用能力と言い、情報活用能力が高ければ、迅速でより正しい意思決定に繋がる反面、低ければ、意思決定が遅れ正確性を欠く情報で判断しなければならなくなります。
こういった状況から、現代の経営判断のリスクとしては、勘に頼る経営判断を行っていることなどではなく、情報活用を行うことは前提として、情報活用能力が不足することをリスクとして認識する必要があります。
情報活用能力不足の対策
既に情報活用能力の重要性を認識し、育成や採用の強化を行う企業は増加しています。認識がない企業は、まず、情報活用能力の不足をリスクとして認識することが大切です。認識した上で自社の状況に合わせた対策を検討していくことが情報活用能力の向上に繋がります。
社員の育成と情報活用能力の高い人材の採用による強化が主な対策となりますが、自社に必要な情報やその知識を持つ人材などを明確にすることで、より効果的な対策が行えると考えられます。
意思決定プロセスの対策
収集し、分析した情報を最大限に活用できるようにするためには、そこから推測される事象などを検討し、判断を行える体制が必要となります。最終決定は経営者自身が行う必要がありますが、判断材料や選択肢を迅速に整えられる経営陣や専門家などによる体制を整えることで、より精度の高い経営判断に繋がると考えられます。
今後、情報活用能力の差はより明確になると考えられ、意思決定スピードの差は競争面や経営リスク対応の差となって表れ、企業格差が生まれる可能性があります。グローバルではより影響が大きくなることも予想されます。
今後を見据え、早期に情報活用能力の育成や採用による強化、体制構築などの取り組みを行うことで、経営判断のリスク回避だけでなく、競争面での優位性を得ることにも繋がると思われます。
株式会社TMRでは、リスクマネジメント体制の構築支援や業界動向調査等の各種支援を行っています。組織体制の最適化支援や内部通報制度、従業員研修による意識改革など、独自のノウハウと倒産企業予知情報「企業特調」や弁護士事務所からの多岐にわたる問題解決で得た豊富な実績を元に効果的な支援を行っています。
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