1.会社の優秀な社員やメンバーが大量流出したケース

2.企業コンプライアンスからみた反社会的勢力への対応

3.中小企業が行う反社会的勢力への対応と外部専門機関

4.中小企業にも求められる反社会的勢力への対応

1. 会社の優秀な社員やメンバーが大量流出したケース

中堅企業のB社は二代目への事業承継を契機に増資を行い、事業拡大に取り組むスタートラインに立っていました。しかし、あるタイミングで会社の重要なポジションにいる取締役が反社会的勢力の関係者であり、かつ反社会的勢力の息がかかった会社との取引に関わっていたことが判明しました。

その事実を知った優秀な若手社員や中堅メンバーが、そのような会社には居たくないと一斉かつ大量に退職してしまいました。急いでその取締役や取引先を排除して立て直そうとしましたが、すでに人材不足により会社の事業運営ができなくなり内部崩壊、最終的には倒産してしまいました。

 自分が働く会社が反社と関わりがあると知ってしまったら従業員はどう思うでしょうか。上記ケースのように、そのような会社には居たくないと思われてしまうことになると思います。特に、こういう場面では、すぐに次の転職先が見つかる優秀な人から辞めていってしまうことが多くみられます。大企業に比べて体力のない中小企業にとって、人材の流出は大打撃です。ワーストケースの場合、B社のように倒産に至ることもあるでしょう。

2.企業コンプライアンスからみた反社会的勢力への対応

政府は「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を定め、その中で、反社会的勢力に対して屈することなく法律に即して対応することや、反社会的勢力に対して資金提供を行わないことは、コンプライアンスそのものでもあると言える」と述べています。

上記の指針では、企業が反社会的勢力による被害を防止するため、「①組織としての対応」、「②外部専門機関との連携」、「③取引を含めた一切の関係遮断」、「④有事における民事と刑事の法的対応」、「⑤裏取引や資金提供の禁止」の5つを反社会的勢力に対する企業対応の基本原則として定めた。国として基本原則を定めることにより、反社会的勢力への対応を企業コンプライアンスとして浸透させる取り組みと考えられます。

3.中小企業が行う反社会的勢力への対応と外部専門機関

「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の5つの基本原則の中でも、「②外部専門機関との連携」と定められているものの、特に経営資源の限られる中小企業では反社会的勢力への対応のための専門人員を配置することは困難であることから、体制構築を含めた支援を行える専門機関との連携は有利な対応策のひとつです。

外部専門機関として定義されている機関を具体的に挙げると、警察や各都道府県に設置されている暴力団追放運動推進センター、社団法人警察庁関内特殊暴力防止対策連合会、各地の企防協、弁護士、弁護士会民暴救済センターの他、専門の調査会社が挙げられる。専門の調査会社の中には、情報提供や相談業務の範囲にとどまらず、危機管理体制の構築支援をメニューとして提供する企業もあります。

更に、危機管理体制の構築には、経営者や幹部社員、危機管理担当者のみでなく、企業全体での体制構築が必要であることから、相談窓口の設置や一般従業員の帰属意識、士気の高揚、従業員満足度の向上などを図りながら、企業全体で取り組みを行うハンズオン支援までを行う企業も存在しています。豊富な業界経験に裏打ちされた専門性を持つ、専門機関との連携は中小企業が行う反社会的勢力への対応にとても有効は取り組みのひとつと言えるでしょう。