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ハラスメント防止のための意識改革
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|リスクマネジメント

1. ハラスメントの増加要因
2. バイアスにより発生する認識の違い
3. ハラスメント防止のための意識改革
今では企業が取るべき対策としてハラスメント対策は必須となっていますが、私たちが研修セミナーなどを行わせていただいた所感では、一定の効果は見込めるものの、世間一般ではなかなかハラスメントの発生は減少には向かっていないようです。これは、ハラスメントの内容が多種多様にわたり、様々なハラスメントが発生していることも一因かもしれません。
ハラスメントの定義としては、「相手が嫌がることをして不快感を与える行為」ということになるのですが、悪意ある行為だけでなく、思いもよらないところでハラスメントが発生しているということも要因のように思われます。
ハラスメント防止を考える際に必要なのは、やってはいけないことを学ぶだけではなく、そもそもの意識自体を変えることが必要です。
1. ハラスメントの増加要因
意図的な嫌がらせ行為や犯罪行為などはもってのほかですが、様々なハラスメントの発生は、社会背景や価値観の多様化などにより「嫌がる」の認識が異なることで発生することを理解する必要があります。
許容範囲の認識の違い
セクハラであれば、「性的な言動」、パワハラであれば、「業務上必要かつ相当な範囲を超える」というような定義があり、この許容範囲を超えた嫌がる行為がハラスメントと認定されるわけですが、許容範囲の認識は人によって異なります。
例えば、Aさんは軽い下ネタをジョークとして受け取る一方、Bさんは非常に不快に感じるということがあります。同様に仕事のミスに対して、上司が厳しく叱った場合、Cさんは反省する一方、Dさんは出社するのが怖くなるほど委縮してしまうということがあります。
他にも、ジェンダーの考え方などの社会的な変化や、多様な働き方への理解など、各人や組織によって変化に対する認識の差異もあります。
つまり、ハラスメントは、加害者側、被害者側認識の乖離により発生するといえます。
ハラスメントが表面化しやすい環境
SNS等で容易に情報発信が行えることもあり、些細なことでも嫌な思いをした場合などに共感を求めて情報発信するケースもよく見かけます。特に上記の認識の違いなどは、共感を求めるのにSNSは適しており、こういった発信によりハラスメントが表面化する機会も増加していると思われます。
また、ハラスメントの認識という点においても、様々なハラスメントが共有され認識されることで、ハラスメントの種類の増加や相談件数の増加などに繋がっていると考えられます。
2. バイアスにより発生する認識の違い
偏見や先入観をバイアスといいますが、上記のような認識の違いが発生する要因として、バイアスが大きく影響していると思われます。これは、社会背景や価値観などの変化に対し、各人の考え方が変化に追いつかないことなどで起こるもので、ハラスメントに影響すると思われる主なバイアスとして以下の2つのバイアスをご紹介します。
アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)
「~べき」「普通は~」など、自身の中では常識と思っていることが、現在ではそうではないということがあります。「普通は女性なら結婚して退職する」などが該当しますが、こういった思い込みによるバイアスをアンコンシャスバイアスといい、昭和の常識やZ世代の常識、自身の経験則から決めつけてしまう場合などが該当します。他にも、「自分には無理」と決めつけてしまうことで、通常の指示でも上司が無理難題を押し付けていると誤った認識を持ってしまう場合などがあります。
同調バイアス
周囲の意見や行動に合わせてしまうバイアスを同調バイアスといい、間違っていても強い意見に流されてしまうことがあります。例えば、ハラスメントを判断する側が全員昭和世代だった場合、昭和世代が思うハラスメントの認識が正しいという企業文化となってしまっていることもありえます。このような場合、企業全体の同調バイアスが強くなるため、新しく入った社員は同調せざるを得なくなり、反論したい場合などは、外部に共感を求めてSNS等での発信に繋がったりします。
これは、加害者側だけでなく、被害者側においても同様のことが言え、SNS等でハラスメントと認識した事項を書き込み、「いいね」やコメントによる同調を得られることで、「自分の考え(感じ方)は間違っていない」と判断し、その書き込みを見た第三者も「それはハラスメントなんだ」と安易に同調してしまうことで、思い込みが集団意識となってしまう場合があります。
このようなバイアスによる認識の相違は様々なところで見られ、特に世代間での考え方の違いなどは、思い込みに加え集団意識となるため、バイアスによる認識の違いを取り除くことが難しくなる傾向にあり、無自覚のうちにハラスメントを引き起こしていることがあります。
3. ハラスメント防止のための意識改革
ハラスメントを防止するためには、一般的なハラスメント研修に加えて、意識を変える教育が必要と考えられ、各人が自分の中の常識を見直すことが必要となります。
アンコンシャスバイアス研修
専門家による研修により、思い込みに気づく方法や事例などに基づく知識を得ることで、各人が自身のバイアスを認識できるようにします。
ヒアリング等による意識調査
バイアスに関してのヒアリング等を行うことで、社員の考え方や傾向を把握し、自社の状況に応じた適切な教育や研修による改善を進めていきます。
バイアスは、決してすべてが悪いというわけではなく、有用でもあります。但し、現代の価値観に基づいた多様性を受け入れ、柔軟に対応していくことが求められるため、自身のバイアスを自身で正しく認識し、環境や状況に応じて適合させることや、自身とは異なる考え方との折り合いをつけていくことが大切です。
また、このようなバイアスに関する意識改革は、ハラスメントへの効果だけではなく、採用や人事においても偏った人材採用の防止や多様な働き方への柔軟な対応、ジェンダー対応など、多様性に対応した組織作りにも繋がります。
株式会社TMRでは、業歴42年のもと、培われた豊富な人材と多岐に渡るノウハウをもってリスクマネジメント体制の構築支援を行っています。組織体制の最適化支援や内部通報制度、従業員研修による意識改革などの不祥事予防だけでなく、第三者委員会の下で行われる不祥事実態調査や調査チームメンバーの人定調査のご依頼を承っている実績もあります。独自のノウハウと倒産企業予知情報「企業特調」や「日刊誌 ウォッチ」、弁護士事務所からの多岐にわたる問題解決で得た豊富な実績を元に効果的な支援を行っています。
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